人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆(もろ)さと脆さによって繫がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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人生・一生
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前後の文章を含んだ引用
......。曲集は「第一年・スイス」から「第二年・イタリア」へと移った。 そのとき彼はようやくすべてを受け入れることができた。魂のいちばん底の部分で多崎つくるは理解した。人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繫がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。「ねえ、つくる、あの子は本当にいろんなところに生き続けているのよ」とエリがテーブルの向かいから、かすれた声で絞り出すように言った。「私にはそれが感じられる。私た......
単語の意味
悲痛(ひつう)
叫ぶ・号ぶ(さけぶ)
悲痛・・・悲しすぎて胸が痛い。心が痛いほどの悲しみ。
叫ぶ・号ぶ・・・1.何かを訴えるために、大きな声を出す。大声を発する。大声で言う。
2.世間に向かって強く主張する。強く訴える。
2.世間に向かって強く主張する。強く訴える。
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人生を登ることに一歩一歩誠実に果たす
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
一生この家に年老いて家霊のようになって死んで行く
円地 文子 / 女坂 amazon
(波乱万丈の人生)愉快な話があり、しんみりした話があり、乱暴な話があった。唖然とするような途方もない話があり、《…略…》もし人生がエピソードの多彩さによって計れるものなら、彼の人生はそれなりに豊かなものだったと言えるかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
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「人生」カテゴリからランダム5
(未来を変えられない)一年前の自分をなぞることしかできない。 一年後の未来は、ここに確かに見えている。だが、それは真夏のアスファルトに浮かぶ逃げ水のように、どんなにしても触れることができない。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
行くところもないようないまだに苦しい生活の連続でした。私はうんうん唸ってすごして来ました。
林芙美子 / 新版 放浪記
神が人生の試験台にたたきつけた哀れなモルモット、彼女
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
「人生はビスケット缶だと思えばいいのよ《…略…》ビスケットの缶にはいろんなビスケットがつまってて、好きなのとあまり好きじゃないのがあるでしょ?それで先に好きなのどんどん食べちゃうと、あとあまり好きじゃないのばかり残るわよね。私、辛いことがあるといつも思うのよ。今これをやってくとあとになって楽になるわって。」
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
終わるのがこわいくらい完璧な一日
よしもと ばなな / ムーンライト・シャドウ amazon
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