空には、もう細い月が、うらうらと靡 いた霞 の中に、まるで爪の痕 かと思う程、かすかに白く浮んでいる
芥川龍之介 / 杜子春 ページ位置:3% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
月
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......や、白馬 に飾った色糸の手綱 が、絶えず流れて行く容子 は、まるで画のような美しさです。 しかし杜子春は相変らず、門の壁に身を凭 せて、ぼんやり空ばかり眺 めていました。空には、もう細い月が、うらうらと靡 いた霞 の中に、まるで爪の痕 かと思う程、かすかに白く浮んでいるのです。「日は暮れるし、腹は減るし、その上もうどこへ行っても、泊めてくれる所はなさそうだし――こんな思いをして生きている位なら、一そ川へでも身を投げて、死んでし......
単語の意味
霞(かすみ)
うらうら
靡く(なびく)
霞・・・1.遠くにある山などの前に、帯状の煙りのようなものが見える現象。春の朝などによくある、遠くをはっきり見えなくさせる雲のようなもの。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
うらうら・・・1.日差しが明るく穏やかに照っているさま。
2.心が落ち着いて静かなさま。
2.心が落ち着いて静かなさま。
靡く・・・1.草や藻、布などの長くて軟らかいものが、水や風の流に従って横に動く。
2.権力者の意思や命令に従う。また、女性が男性の言うことを受け入れる。
2.権力者の意思や命令に従う。また、女性が男性の言うことを受け入れる。
ここに意味を表示
月の表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
まだ光を含まない繊月(せんげつ)が、透きとおるような白さで浮いている
永井 路子 / うたかたの amazon
するどく傾(かし)いだ焔のような月の面
瀧井 孝作 / 無限抱擁 amazon
このカテゴリを全部見る
「空・中空」カテゴリからランダム5
濃く青い空は媚 を含んでいつまでも暮れなかった。
岡本かの子 / 母子叙情
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜
(結露)窓ガラスが結露で埋まると、それだけで、外の世界すべてが覆い隠される。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
西空に懸った細い月は、 紐 で 繋がれたように、太陽の後を追って沈んで行った。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
空・中空 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ