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耳を裏向けにするような集注で、佃の言葉を期待した。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:41% 作品を確認(青空文庫)
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耳を澄ます・聞き耳を立てる
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......ですがね――」  やがて多計代が一段落で、佃の返答を求めた。 「もっとも、伸子はあなたも御存じの通りの性質だから、まるで恥辱でも受けるようにお腹立ちですがね」  伸子は、耳を裏向けにするような集注で、佃の言葉を期待した。 「――……」 「どうです、私どもはあなたのためにだって、決して悪いとは思いません」 「――考えて見ていずれ御返事いたします」  伸子は、くるりと後を向き、 「そんなこと......
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