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酒が好きで、別人なら無礼のおとがめもありそうな失錯しっさくをしたことがあるのに、忠利は「あれは長十郎がしたのではない、酒がしたのじゃ」と言って笑っていた。
森鴎外 / 阿部一族 ページ位置:15% 作品を確認(青空文庫)
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酒に酔う・酔っ払う
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前後の文章を含んだ引用
......のことは何も意識に上らず、備後畳びんごたたみの上に涙のこぼれるのも知らなかった。  長十郎はまだ弱輩で何一つきわだった功績もなかったが、忠利は始終目をかけて側近そばちかく使っていた。酒が好きで、別人なら無礼のおとがめもありそうな失錯しっさくをしたことがあるのに、忠利は「あれは長十郎がしたのではない、酒がしたのじゃ」と言って笑っていた。それでその恩に報いなくてはならぬ、そのあやまちをつぐのわなくてはならぬと思い込んでいた長十郎は、忠利の病気がおもってからは、その報謝と賠償との道は殉死のほかないとかたく信......
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