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季節の変わり目、移り変わりの表現・描写・類語(時間・スピードのカテゴリ)の一覧 ランダム5
地上には確実に春が来ていた。懐かしい春の匂いがした。地球は辛抱強く律儀に太陽の回りを公転しつづけるのだ。宇宙の神秘。僕は冬が終わって春が来る度にいつも宇宙の神秘について考える。どうしていつもこう同じ春の匂いがするのだろう、と。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
ひとつの季節がドアを開けて去り、もうひとつの季節がもうひとつのドアからやってくる。人は慌ててドアを開け、おい、ちょっと待ってくれ、ひとつだけ言い忘れたことがあるんだ、と叫ぶ。でもそこにはもう誰もいない。ドアを閉める。部屋の中には既にもうひとつの季節が椅子に腰を下ろし、マッチを擦って煙草に火を点けている。もし言い忘れたことがあるのなら、と彼は言う、俺が聞いといてやろう、上手くいけば伝えられるかもしれない。いやいいんだ、と人は言う、たいしたことじゃないんだ。風の音だけがあたりを被う。たいしたことじゃない。ひとつの季節が死んだだけだ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
私は冬を目の前に控えた自然の前に幾度も知らず知らず棒立ちになって、君の事と自分の事とをまぜこぜに考えた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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一時間にも感じられた数分の後、
宮本百合子 / 伸子
うとうとかいこのように眠っていた生活が、突然鼓動を打ち始めた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
遠い微かな穴の奥底のような昔
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
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