ブランドに頼る凡人

夕闇の中に診察着をきた男が夕顔のように白く近よってくる

（この人は、）大理石に端正に刻んだ像を見るように、冷やかで静かなところが見え

カフェテリアは混み合っていたが、牛河の座っている六人掛けのテーブルには誰ひとり同席していなかった。レイヨウたちが山犬を避けるのと同じように、自然な本能に従って、学生たちは（異様な雰囲気を持つ）牛河をよけていた。 （略、彼は、）カフェテリアの人混みの中に消えていった。彼が歩いていくと、その道筋にいる男女の学生たちは自然に脇によって道をあけた。村の小さな子供たちが恐ろしい人買いを避けるみたいに。

なにごとか一心に思いつめたような妖しい雰囲気

彼女の顔にはいつも不透明な薄皮のようなものがかぶせられていた。存在の気配を消すためだ。

もう八十歳をすぎたのに、元気だし、おしゃれだから若くみえる。

博士は息子を、ルートと呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。

大男が言った。穏やかな物言いだったが、奇妙な威圧感が空気を震わせた。周囲に立ち並ぶ杉の木から、声が発せられたのかと思うほどだ。

人を惹きつける強烈な個性