繃帯の隙間を、ねばねばした汗が、虫のように這いずりはじめる。

天井から吊って干してある、白い昆布のような、幾条もの繃帯の列

（包帯で）全身をグルグルグルグルグルと巻上げますと、御覧の通り木乃伊（ミイラ）の出来損（そこ）ねか又は、子供の作るテルテル坊主の裸体（はだか）ん坊（ぼう）を見るよう

ぎゅうぎゅうに繃帯を巻いたので、すっぽり白頭巾を被ったような頭になった。巻き方が固くて、とくに縁のところが締まっている為、何だか首を上の方に引き上げられる様でもあり、又首だけが、ひとりでに高く登って行く様な気持もして、上ずった足取りで家に帰って来た。

眼と鼻と口のところだけ、穴をくり抜いた、顔じゅう繃帯の男

ぼさぼさの前髪からきらきら覗く大きな目が頼りなげで、好きになってしまいそうで怖かった。

同じような髪形をした見分けのつかない女の子三人組

名前に「熊」という字があるせいか、大きな体で色白で、どこかのっそりとした白熊を思わせる少年

涼しそうな後姿

突然死病に取りつかれて、夢にもうつつにも思いもかけなかった死と向かい合って、ひたすらに恐れおののいている、その姿は、千丈の谷底に続く崕（がけ）のきわに両手だけでぶら下がった人が、そこの土がぼろぼろとくずれ落ちるたびごとに、懸命になって助けを求めて泣き叫びながら、少しでも手がかりのある物にしがみつこうとするのを見るのと異ならなかった。