サフォークはどこかしら奇妙な雰囲気のある羊だ。何もかもが黒く、体毛だけが白い。耳は大きく、それが蛾の羽のように真横につきだしている。暗闇に光る青い目とはりのある長い鼻梁にはどことなく異国的な趣きがあった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:71% 作品を確認(amazon)
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羊
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前後の文章を含んだ引用
......深そうにじっと羊と僕の姿を眺めていた。若い牡羊はまるで群れ全体からそっとさしだされた不確かな触手でもあるかのように、緊張して僕を見つめ、体をこわばらせていた。 サフォークはどこかしら奇妙な雰囲気のある羊だ。何もかもが黒く、体毛だけが白い。耳は大きく、それが蛾の羽のように真横につきだしている。暗闇に光る青い目とはりのある長い鼻梁にはどことなく異国的な趣きがあった。彼らは僕の存在を拒否するでもなく受け入れるでもなく、いわば一時的に与えられた情景として眺めていた。何頭かの羊が音を立てて勢い良く小便をした。小便は床をつたってU......
単語の意味
趣(おもむき)
鼻梁(びりょう)
何処とも無く(どこともなく)
羊(ひつじ)
蛾(が・ひひる・ひむし)
暗闇(くらやみ)
趣・・・しっとりと落ち着いて、心惹かれる特徴や雰囲気。そのものがもっている、自然とかもし出される(いい)雰囲気。ずいぶん昔のものなのに、手入れがされているさま。風情(ふぜい)。
鼻梁・・・鼻すじ。眉間から鼻の先端までの部分。
何処とも無く・・・はっきりとした場所は言えないが、なんとなく。どことなく。
羊・・・ウシ科の哺乳動物。ヤギに似た、中型の大人しい家畜。らせん形の角がある。毛は灰白色で、柔らかくて巻き縮む。性質は臆病で、集団をつくって生活する。毛は毛織物の原料で、肉は食用。
蛾・・・鱗翅目(りんしもく[=ガやチョウなど])の昆虫のうち、蝶以外のものを総称。止まった時の羽が水平になる、口先がらせん状になっていないなどで蝶と区別する。ただし、生物学的には明確な違いはない。主に夜活動する。きわめて種類が多く、日本だけで5000種ほどいる。「ひひる」「ひむし」はガの古称。特に、蚕(かいこ)のものをいう。
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ジンギスカンは大衆的な料理だから、気取らず自由闊達に食べるべきである
渡辺淳一 / これを食べなきゃ amazon
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