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いつまでもこの静けさの中に浸っていると、蜜蜂の羽音が聞こえてきそうな気がした。最初は雨に包まれぼやけていたその音が、蜂に目を凝らしているうちに段々鮮やかな輪郭を持ちはじめ、耳に入り込んできた。そのままじっとしていると、羽音はしなやかな液体のように耳の奥の小さな管にまで染みとおっていくのだった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:75% 作品を確認(amazon)
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耳を澄ます・聞き耳を立てる
小雨・静かな雨・春の雨
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前後の文章を含んだ引用
......く。そして決心すると、腹の縞模様をびくんと振動させながら、花びらの先端の一番薄いところに止まる。すると羽が雨のしずくと溶け合って、光っているように見えるのだ。 いつまでもこの静けさの中に浸っていると、蜜蜂の羽音が聞こえてきそうな気がした。最初は雨に包まれぼやけていたその音が、蜂に目を凝らしているうちに段々鮮やかな輪郭を持ちはじめ、耳に入り込んできた。そのままじっとしていると、羽音はしなやかな液体のように耳の奥の小さな管にまで染みとおっていくのだった。 不意に、換気用の窓のすきまから蜂が一匹迷い込んできた。それは真直ぐ天井伝いに飛び、片隅の丸いしみの上に止まった。しみは前よりまた大きく濃くなっていた。すっきり......
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自分がいったいどこにいるのかわからなくなってしまいそうなほどの百パーセントの沈黙だ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
時の流れのように秘 やかに流れて行く
夢野久作 / ドグラ・マグラ
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耳を澄ます・聞き耳を立てるの表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(聞き分ける)比丘尼 が木魚の音を聞き分けるごとく
夏目漱石 / 吾輩は猫である
尖った小さな耳はすべての音を聞きとりたいという清らかな望みに澄まされていた……。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
伊吹の声が、私のすぐ横で薄暗い空気を揺すっている。 私はその振動を、鼓膜で齧るようにゆっくり耳の中に吸い込みながら歩いていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
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小雨・静かな雨・春の雨の表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
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「音の響き」カテゴリからランダム5
氷の詰まった部屋のように冷ややかに静まり返る
高橋 三千綱 / 涙 amazon
葉に雨がぶつかり、小石を屋根に散らしたような音があちこちから聞こえる
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
底のほうで鳴っているような重い海の響き
原田 康子 / 挽歌 amazon
「雨・霧」カテゴリからランダム5
雨が、小屋をつつみこんで宙へ押し上げるような勢いで降る
古井 由吉 / 聖―ひじり amazon
鼠色 の道に 溜まった雨水が、行き交う人の服の色を反射している。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
干した二枚の下着が重そうに雨に打たれている。
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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