蛍の火が一すじ椰子の並木の中から流れてきた。娘は手に持っていた団扇 をさし上げた。蛍の光はそれにちょっと絡 わったが、低く外れて海の上を渡り、また高く上って、星影に紛れ込んで見えなくなった。
岡本かの子 / 河明り ページ位置:98% 作品を確認(青空文庫)
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蛍
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前後の文章を含んだ引用
......の灯がだんだん生き生きと煌 めき出した。日本料理店清涼亭の灯も明るみ出した。 話し疲れた二人は暫 く黙っていた。 波打際をゆっくりと歩いて来る娘と社長の姿が見えた。蛍の火が一すじ椰子の並木の中から流れてきた。娘は手に持っていた団扇 をさし上げた。蛍の光はそれにちょっと絡 わったが、低く外れて海の上を渡り、また高く上って、星影に紛れ込んで見えなくなった。 私はいま再び東京日本橋箱崎川の水に沿った堺屋のもとの私の部屋にいる。日本の冬も去って、三月は春ながらまだ底冷えが残っている。河には船が相変らず頻繁に通り、向河......
単語の意味
星影(ほしかげ)
蛍(ほたる)
星影・・・星の光。星明かり。「影」は、「ひかり」という意味。星彩(せいさん)。
蛍・・・1.ホタル科の昆虫の総称。水辺にすむ小形の甲虫。夜、腹の端から青白い光を出す。その光は古来より好まれ、死者の魂ともいわれた。夏虫(なつむし)。
2.源氏物語の巻名。
2.源氏物語の巻名。
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蛍の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
夥しい光の粒が 一斉 にまとわりついて、それが胸元やスカートの裾から中に押し寄せてくるのだった。白い 肌 が光りながらぼっと浮かびあがった。《…略…》螢の大群はざあざあと音をたてて波打った。それが螢なのかせせらぎの音なのか竜夫にはもう区別がつかなかった。このどこから雲集してきたのか見当もつかない何万何十万もの螢たちは、じつはいま英子の体の奥深くから絶え間なく生み出されているもののように竜夫には思われてくるのだった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
蛍の火が一すじ椰子の並木の中から流れてきた。娘は手に持っていた団扇 をさし上げた。蛍の光はそれにちょっと絡 わったが、低く外れて海の上を渡り、また高く上って、星影に紛れ込んで見えなくなった。
岡本かの子 / 河明り
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「夏」カテゴリからランダム5
あんまりお天陽様が強いので、何もかもむき出しにぐんにゃりしている。
林芙美子 / 新版 放浪記
熱い空気がじっとりと汗ばんだ全身を包んでいた。目を閉じると、まぶたの裏が赤かった。陽に焼けていく。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
雲間を割って夏の陽が落ちかかってくる
池波正太郎 / 剣客商売 amazon
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