サユリが客の間を腰から下だけを時計の振り子のように動かす美しい姿勢で歩いて行くと、彼らは店の内装の粋な感覚など全て忘れて彼女の方を見るのだった。時を刻むのは、彼女の靴の細い 踵かかと の音だけである。

美しく、得も言われぬ存在感を放っていた。

少し狡（ず）るそうな美しい娘

彼方（かなた）の月のように美（うるわ）しい。

真佐子の無性格――彼女はただ美しい胡蝶（こちょう）のように咲いて行く取り止めもない女、充（み）ち溢れる魅力はある、しかし、それは単に生理的のものでしかあり得ない。

年相応の皮膚の老いが、むしろやすらぎに思えた。

（歌舞伎役者）羽子板の押し絵をそのままの美しさ

喧騒の中から女の子の鈴のような声

彼は診療所ではキャップを深くかぶり、大きなマスクをつけていた。患者に見えるのは、彼の一対の目と、一対の耳だけだった。にもかかわらず、彼が好男子であることは隠しようがなかった。美しい鼻はりりしく、またセクシュアルにマスクを盛りあげていた

女性のように甘い顔をした男