店を出る頃には、雨は雪に変わっていた。 大気にたっぷりと満ちた湿気のおかげか、雪の舞う街は妙に暖かく、俺は間違った季節に迷い込んでしまったような不安をふいに感じる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 ページ位置:94% 作品を確認(amazon)
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雪
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前後の文章を含んだ引用
......背を向けて、店を出ていく。俺はなぜか、二人の背中から目をそらすことができない。「ありがとうございました」というカフェの店員の声が、雨と混じって曖昧に耳に届く。 店を出る頃には、雨は雪に変わっていた。 大気にたっぷりと満ちた湿気のおかげか、雪の舞う街は妙に暖かく、俺は間違った季節に迷い込んでしまったような不安をふいに感じる。すれ違う一人ひとりに、なにか大切な秘密が隠されているような気がして、ついつい振り返って見てしまう。 その足で、閉館間際の区立図書館に入った。吹き抜けの広々とした......
単語の意味
妙(みょう)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
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雪の表現・描写・類語(雪・霜・あられのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(ヒマラヤスギの)濃緑の枝をたわませながら、雪は器用にその先端にまで積もっている。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
まっくらな夜空を埋めつくして雪が舞っていた。
浅田次郎 / ろくでなしのサンタ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
地面にはぱらぱらとした固い雪が小さな砂糖菓子のように一面に散らばっていた。彼らはそれぞれにしっかり身を固めて、溶け去ることを拒否しているみたいに見えた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
無理にこじ開けられた痛々しい傷跡のような赤土をいたわるように、所々を薄い雪がおおう
干刈あがた / 月曜日の兄弟たち「干刈あがたの世界〈2〉ウホッホ探険隊」に収録 amazon
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「雪・霜・あられ」カテゴリからランダム5
紅葉の錆色が日ごとに暗くなっていた山が、初雪で鮮やかに生きかえる
川端康成 / 雪国 amazon
風がひゅうと鳴って雪がぱっとつめたいけむりをあげます
宮沢賢治 / ひかりの素足
部屋の灯りを吸って、雪の流れが光のような眩しい白さに変わっていく
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
おそろしく静かな雪だった。固くもなく、べっとりとした湿り気もない。それはゆっくりと空から舞い下り、積る前に溶けた。そっと目を閉じるようなひそやかな雪だった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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