初夏の風がそよそよと彼を吹いた。青葉の揮発性の匂いがした。
岡本かの子 / 金魚撩乱 ページ位置:73% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
晩春・初夏
微風・そよ風
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......世界の誰も知らないのだ。彼は寂しい狭い感慨 に耽 った。彼は郡山の古道具屋で見付けた「神魚華鬘之図 」を額縁に入れて壁に釣りかけ、縁側に椅子 を出して、そこから眺めた。初夏の風がそよそよと彼を吹いた。青葉の揮発性の匂いがした。ふと彼は湖畔の試験所に飼われてある中老美人のキャリコを新らしい飼手がうまく養っているかが気になった。 「あんな旧 いものは見殺しにするほどの度胸がなければ、新しいも......
単語の意味
揮発(きはつ)
揮発性(きはつせい)
青葉(あおば)
初夏(しょか・はつなつ)
揮発・・・常温で液体が気体になること。
揮発性・・・常温で液体が気体になる性質。
青葉・・・青々とした草木の葉。とくに、初夏のころの青々とした木の葉。新緑。
初夏・・・ 夏の初め。陰暦4月の異名。孟夏(もうか)。首夏(しゅか)。
ここに意味を表示
晩春・初夏の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
目に映る何もかもが初夏のまぶしさをたたえて、勢いづいていた。人々のむきだしの腕、風に揺れる木々の緑。葉先に光る陽光、空気の 匂い、何もかもがもう止まらない。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
晩春の花の萼(がく)をまだつけている新果のような五月のある朝
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
川に沿って植えられた樹々の若い葉の匂いがした。その緑色があたりの空気の中にしっくりとにじみこんでいるようだった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
微風・そよ風の表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
池の上をさらさらと風が渡って
夏目漱石 / 吾輩は猫である
夏の終りを告げるすらりとした風がビルのあいだを滑り抜けて、通勤帰りの女の子たちのスカートを揺らせていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
海の微風が快活な昆虫のように見えない羽摶(はばた)きを、私の耳もとへ伝えて来たりした。
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
このカテゴリを全部見る
「春」カテゴリからランダム5
一面茶の木が鶯餅 を並べたように萌黄 の新芽で装われ、大気の中にまでほのぼのとした匂いを漂わしていた。
岡本かの子 / 東海道五十三次
街路樹の梢は、いつか靱 やかな撓 みを持ち始めた。
宮本百合子 / 伸子
ふっと目を閉じたくなるほど、強く、甘く、大気が花の香りで満ちている春
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
「夏」カテゴリからランダム5
晩春の花の萼(がく)をまだつけている新果のような五月のある朝
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
すべての表面も根も腐らせてしまうほど陰湿な梅雨
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
夏の朝の日光が、いちめんに板金のように打ち延ばされて輝やいていた。
三島由紀夫 / 午後の曳航 amazon
「風」カテゴリからランダム5
同じカテゴリの表現一覧
春 の表現の一覧
夏 の表現の一覧
風 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ