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(惚れた男の人相書)お仙の眼は、兇状廻しの人相書へ、惚々ほれぼれと吸われていた。胸のなかには、すぐその男の声や、冷たさや、強さや、いろいろな感情が脈をってひびいてくる。
吉川英治 / 治郎吉格子 ページ位置:72% 作品を確認(青空文庫)
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......」 「畜生」  仁吉はいきなり、用箪笥ようだんすにとびついて、がたがたと抽斗ひきだしを鳴らして、四ツに畳んだ人相書をそこへひろげた。 「お仙、てめえの男は、こいつだろう」 「…………」  お仙の眼は、兇状廻しの人相書へ、惚々ほれぼれと吸われていた。胸のなかには、すぐその男の声や、冷たさや、強さや、いろいろな感情が脈をってひびいてくる。 「これだな! よし、分った」  と、妹の顔いろを読んで、 「てめえ、帰ると承知しねえぞ、禁足だ」 「縁を切ったおまえから、足止めをされるおぼえはない」 「ばかッ」  いき......
単語の意味
人相(にんそう)
胸(むね)
人相・・・1.人の顔つき。容貌(ようぼう)。
2.人の顔つきにあらわれる、その人の性格や運勢。
「相」は、「物の姿」「ようす」をあらわす字。
・・・1.体の前面で、首と腹との間の部分。また、その内側にある心臓や肺臓、胃などの内臓。
2.(胸に宿るとされている、)心。想い。心中。
3.乳房(ちぶさ)。おっぱい。
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胸が塞がるほどの恋情を覚えた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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