無関心と紙一重の放任のうちに育った。

猫かわいがりに育てられる

大げさなほど怒った顔をして

成績至上主義のもとに育てられる。

（子供が感じている）その気の重さは経験上すごくよくわかって、 懐かしい気がした。子育ては追体験だな、と実感した。

小川さんたちの無視が静かなものだったせいか、私は思ったほどには傷つけられずに済んだ。 　時折吐き捨てられる「死ね」「きもい」という言葉だけが、しんしんと、教室の中を降ってくる。その言葉は、静かに、私の内側に降り積もっていく。 　その雪みたいな言葉たちと、無視という沈黙。私がされたのはそれだけで、何かとからかわれて標的にされている馬堀さんに比べれば、随分とラッキーだった。 　枠から外れてみると、学校は随分と静かな世界だった。あんなに賑やかだった休み時間の騒ぎ声も、テレビの砂嵐のような意味のない雑音に変わった。 　騒がしくてあわただしい教室の中で、私の時間だけが、やけにゆっくりと流れていた。

神さまの悪戯としか言いようのない、不思議な出会いだった。

お互い相手をそよ吹く風ぐらいにしか感じられないほどに、親しい。

伸子は、母と佃との間に不快が流れているのを察した。

この役割においては、私の中で彼は他の追随を許さないところにいる。