嵐に包まれ、安らかな気持ちにさえなることができた。それは、自分がどこか遠くへ運ばれてゆくような安らかさだった。自分一人では到底たどり着けない遥かな場所へ、この嵐が連れていってくれるような気がした。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:17% 作品を確認(amazon)
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......見つめていた。じっと息を殺していると、闇がか細く震えているのが分った。闇の粒子が、怯えるように宙でぶつかり合っていた。わたしは一人きりでも、少しも怖くなかった。嵐に包まれ、安らかな気持ちにさえなることができた。それは、自分がどこか遠くへ運ばれてゆくような安らかさだった。自分一人では到底たどり着けない遥かな場所へ、この嵐が連れていってくれるような気がした。そこがどこなのかは、よく分らなかった。ただ、すべてがしんと静止した濁りのない場所だということだけは感じ取ることができた。わたしは嵐の音を聞きながら闇に眼を凝らし......
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娘のように心がはずんで来る。
林芙美子 / 新版 放浪記
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絃の体温に触れると心が落ちるところまでちゃんと落ちて窪みにはまって、ぐったりするほど安心する。危険なほどに。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
調和したくつろぎ
梶井基次郎 / 橡の花
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今日まではりつめつづけて来た心に、ほっと帯をゆるめるような安らかさを覚えたのである。
山田克郎 / 壮士行
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子どもらの奇声のような笑い声
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
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顔には人に譲ってはいない自信の色が現われ始めた。
有島武郎 / 或る女
心は水が澄んだように揺 がなかった。
有島武郎 / 或る女
伸子は次第にくつろぎと楽しさが心や体にしみこむのを感じた。
宮本百合子 / 伸子
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