（泡盛）とても奥深い風味と風格のある酒で、トロリとした中にある絶妙な甘さは幻である

焼酎の酔い特有の、あのガラスの破片が頭に充満しているような、陰鬱な気分になって来た

新焼酎は口に含んだ瞬間、若いアルコールが口中を荒々しく刺激する。それは鼻腔に広がるほどの力強さだ。ただ、刺激が徐々に治まるにつれて、芋の甘みがじんわりと浮き立ってくる。つまり、荒々しさと甘さが時間攻撃を仕掛けてくるのだ。

（泡盛）一口で言ってまろやかな味わい。フルーティーな香りで甘みがやわらかい。新酒なのにトゲトゲしたところが全くなく、繊細でいて深みがある。

芋焼酎は飲むと、甘みと香りが口いっぱいに広がり、すーっと味わいが引いていく

質素で剛健な酒の肴

外は凍りつくような寒夜である。 （こういうときには、ぜひとも蕎麦を食べなくては……） 　と、おもい、近くの浜町の〔藪〕へおもむき、鴨南ばんで熱い酒をのんだ。酒と蕎麦の味が、このような寒夜には、腸へしみとおるようにうまいものだ。

熱い熱い、香ばしい玉ねぎのフライにウスターソースを振りかけ、ビールでかぶりつく

すばらしい芳香が立ち上がって、鼻腔をくすぐって逃げていく

疲れた身体に熱い酒をそそぎ入れた。