（頼む）3000円上乗せしますから

すがるような目で見つめた。

たどたどしい頼み方はとても好ましかった。

気の強い彼女に責められて落ち込んで帰ってきたとき、やわらかいタオルを差し出すマネージャーのようなアキヨさん

懐ふとこ ろに 抱かれるような気持で（頼る）

感情の出口に蓋（ふた）をする

私は「嫌い」という言葉が好きなのかもしれなかった。この言葉を口にしていると、自分がどんどん鮮明になっていく気がする。《…略…》（こんな街、大嫌い） 　心の中で呟くと、また自分が鮮明になった気がした。 　皆がわくわくしているものを、こっそりとけなすと、なんだか自分がすごく特別な女の子みたいだ。

ひーちゃんは線香花火に似ている。とてもきれいで、繊細で、ずっとずっと見ていたいのに、ふるふると震えて今にも消えてしまいそうな危うさを、いつも抱いている。 　それは、心の中にあるものすべて、あたしに隠し続けていたからだ。

隣のカウンター席についてすぐに、マスターがウィスキーの水割りを作り出した。なにを飲むか告げないうちに酒が作り始められる環境が出来上がるほど、小池くんが通っていたことを示す、マスターとの意思疎通ぶりだった。

泣き出しそうな声をしてしきりに哀願