道に出ると、涼しい空気が、顔と胸に当った。空の星もずっと多くなっている。すると今までの虚脱した気持が、少しずつふるい落ちてゆくような心になった。弛緩したものが何か冷たい風みたいなものに当って凝固してゆくような状態に似ていた。
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 ページ位置:13% 作品を確認(amazon)
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寒い・冷気・凍える
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前後の文章を含んだ引用
......までの下駄の音に吸いついているように思われた。女と会ってアパートの裏から出て行く瘠せた白髪まじりの五十男の姿を、彼らはどう思って見送っているのだろうと考えた。 道に出ると、涼しい空気が、顔と胸に当った。空の星もずっと多くなっている。すると今までの虚脱した気持が、少しずつふるい落ちてゆくような心になった。弛緩したものが何か冷たい風みたいなものに当って凝固してゆくような状態に似ていた。 道の片側は、低い家がつづき、片側は石をたたんだ崖になっていて、高いところに明るい灯をつけた大きな家がならんでいた。口数の少い男女の通行人がある。俺は歩きながら......
単語の意味
胸(むね)
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眼球が風の冷たさを感じて涙を出した
幸田文 / おとうと amazon
扇風機にでも吹かれるように「寒気」が襲ってきた。
小林多喜二 / 蟹工船
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店の外に出ると、店内との温度差に顔の皮膚がちりちりする。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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