大煙筒から吐き出される煤煙 はまっ黒い天の川のように無月 の空を立ち割って水に近く斜めに流れていた。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:51% 作品を確認(青空文庫)
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煙突
けむり
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前後の文章を含んだ引用
......の中にともされた蝋燭 は壁板に奇怪な角度を取って、ゆるぎもせずにぼんやりと光っていた。 戸をあけて甲板 に出ると、甲板のあなたはさっきのままの波また波の堆積 だった。大煙筒から吐き出される煤煙 はまっ黒い天の川のように無月 の空を立ち割って水に近く斜めに流れていた。 そこだけは星が光っていないので、雲のある所がようやく知れるぐらい思いきって暗い夜だった。おっかぶさって来るかと見上くれば、目のまわるほど遠のいて見え、遠い......
単語の意味
天の川(あまのがわ)
無月(むげつ)
天の川・・・晴れた夜空に、白くて川のように見える星の群れ。夜、空に帯状に見える無数の恒星の集まり。銀河。
無月・・・空が曇って月が見えないこと。とくに、陰暦8月15日の夜の月についていう。
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けむりの表現・描写・類語(火・煙・灰のカテゴリ)の一覧 ランダム5
煙の折れた先が磁針のように、絶え間なく不安に揺れる
大岡 昇平 / 野火 amazon
湯気が立ち上って白く闇に溶けてゆく。《…略…》時々強い風が吹いて、湯気を夜空の高い所まで運んでゆく。そして庭の緑が揺らめく。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
明るく冴えた秋空に濛々と立ち昇る黒煙
海音寺 潮五郎 / 武道伝来記 amazon
一条の細い煙が、朝の微風になぶられて、ためらうように揺れながら、次第にその勢を増しつつあった。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
野火の煙が、回転する磁石の針のように揺れる
大岡 昇平 / 野火 amazon
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(野焼き)草原が燃えた後であった。黒く崩れ伏した草の上、直立した焼け残りの草の根方を、低く煙が、水底に動く影のように、 匍 っていた。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
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(さっぱり)流石 に生れ変ったような気持になって
夢野久作 / ドグラ・マグラ
船の舳 のほうで氷をたたき破 るような寒い時鐘 の音
有島武郎 / 或る女
旗がばたばたと風にあおられて音を立てる――その音がいい。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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