下の方に海を望む

丘の上から、裾野まで見渡せる大きな大きな富士山を眺める。

（山から見下ろした夜明けの風景）山裾の靄は晴れ、 麓 の村々の電燈が、まばらに眺められた。 米子よなご の 灯 も見え、遠く 夜見ケ浜 の 突先 にある 境港 の灯も見えた。或る時間を置いて、時々強く光るのは 美保 の 関 の燈台に違いなかった。湖のような 中 の 海 はこの山の陰になっている為 未だ暗かったが、 外海 の方はもう海面に鼠色の光を持っていた。 　明け方の風物の変化は非常に早かった。 少時しばらく して、彼が振返って見た時には山頂のむこうから 湧き上るように 橙色 の 曙光 が昇って来た。それが見る見る濃くなり、やがて又 褪せはじめると、 四辺あたり は急に明るくなって来た。

下界を見下ろすと車がアリのように小さい

なだらかな丘陵地帯に広がるニュータウンを上から眺め渡すと、団地の建物や一戸建ての家屋は、丘の表面に貼りつけただけのように見える。

畑には刷毛（はけ）の先でかすったように麦や小麦でほのかに青味を保っている。

（履きものの）ゴム裏は、まるで音のないような滑らかな音をひいて、乙女の肌のような若芽の原を渡る

丘陵地の奥まったところにあるキャンパスは緑に囲まれていて、都会の喧騒からはきっちり一線を画した 清々しさを持っている。

ホテルの窓からは隣りのビルのネオン・サインが見えた。その緑の人工的な光の中を無数の雨の線が地表に向けて走っていた。窓際に立って下を見下ろすと、雨の線は地表の一点に向けて降り注いでいるように見えた。

西へ耳のように張り出した半島