雲をつかむようにはっきりしない

（よく分からない）その人たちがなにを考えて生きているのか、真樹子には磨りガラスの向こうを見るようにもう一つはっきりとわからない。

わかるんだけど、あとひとつのところでつながらない。

「すべて曖々然（あいあいぜん）として昧々然（まいまいぜん）たるかたで行くつもりかね」

夢のようにおぼつかない

おきゃがりこぼしのだるまのように、変にフラフラした体を起して

次第にからだが暖かになる。眼のふちがぽうっとする。耳がほてる。歌がうたいたくなる。

手を尽くす

交差点に差し掛かったところで、車のクラクションが鳴り響き、音に反応して振り返る所作の鈍さと大きさで自分が酔っていることがわかった。

（落ち込む気持ちを意識的に切り替える）彼は段々自分が、そういう気分に 惹き込まれつつある事を意識した。坂路で惰性のままに段々早くなる、それを踏み 止とまるような心持で、寧ろ意志的に彼は気分を惹きもどそうとした。手段として、彼は広い広い世界を想い浮べた。地球、それから、星、（ 生憎 曇っていて、星は見えなかったが）宇宙、そう想い広めて行って、更にその一元子程もない自身へ想い返す。すると今まで頭一杯に拡がっていた暗い 惨めな彼だけの世界が急に 芥子粒けしつぶ 程のものになる。