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欲しいと思ったものは何でも必ず手に入れてきた。でも、何かを手に入れるたびに別の何かを踏みつけてきた。《…略…》そしてこう思った。もう何も欲しがるまいってね」 彼女は首を振った。「それで、一生そんな風にやってくつもり?」 「おそらくね。誰にも迷惑をかけずに済む」 「本当にそう思うんなら」と彼女は言った。「靴箱の中で生きればいいわ」 素敵な意見だった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 ページ位置:58% 作品を確認(amazon)
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ひっそりと、退屈な暮らし(日々)
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前後の文章を含んだ引用
......?」「慣れたのさ。訓練でね」「どんな訓練?」 僕は煙草に火を点けて、煙を彼女の五十センチばかり頭上に向けて吹いた。「僕は不思議な星の下に生まれたんだ。つまりね、欲しいと思ったものは何でも必ず手に入れてきた。でも、何かを手に入れるたびに別の何かを踏みつけてきた。わかるかい?」「少しね」「誰も信じないけどこれは本当なんだ。三年ばかり前にそれに気づいた。そしてこう思った。もう何も欲しがるまいってね」 彼女は首を振った。「それで、一生そんな風にやってくつもり?」「おそらくね。誰にも迷惑をかけずに済む」「本当にそう思うんなら」と彼女は言った。「靴箱の中で生きればいいわ」 素敵な意見だった。 僕たちは駅までの道を並んで歩いた。セーターのおかげで夜は心地良かった。「オーケー、なんとかやってみるわ」と彼女は言った。「あまり役にはたてなかったけどね」「話......
単語の意味
首・頸・頚(くび)
首・頸・頚・・・1.頭と胴体をつなぐ細い部分。頸部(けいぶ)。また、「頭」そのものを指す場合もある。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
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外を吹き荒れる突風に首を縮こめ、決して巣から顔を出さない穴熊みたいに、注意深く日常をやりすごす
鷺沢 萠 / 大統領のクリスマス・ツリー amazon
いつも夕暮れの中にいるようだ、寂寥たる日々
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
小さな蝸牛 のような生活を営んだ
岡本かの子 / 東海道五十三次
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雪解けの泥々道を行く気持ちが心に重たい。痩 せた十字架の電信柱が陽に光っている。
林芙美子 / 新版 放浪記
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