(塩鮭)歳末になると、塩鮭が町のあちこちに出没する。 塩鮭というものは、もともと一年中出まわっているものなのだが、歳末に限って全身像で出没する。ふだんは切り身という形で世間とつきあっているのだが、歳末に限ってどういうわけか、装いも新たに全身つながった形で現れる。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 ページ位置:67% 作品を確認(amazon)
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鮭(鱒)
年末・年の瀬
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前後の文章を含んだ引用
......識なのであります。 塩鮭をジッと見ていると、なんだか哀れで涙が滲んでくる。 なぜ哀れか、ということはおいおい申し述べるとして、歳末は塩鮭のシーズンなのですね。 歳末になると、塩鮭が町のあちこちに出没する。 塩鮭というものは、もともと一年中出まわっているものなのだが、歳末に限って全身像で出没する。ふだんは切り身という形で世間とつきあっているのだが、歳末に限ってどういうわけか、装いも新たに全身つながった形で現れる。「ふだんは切り身で失礼していますが、わたくしは本来こういうものなのです」 と、全身をつなげてご挨拶に現れる。 魚屋の店頭、スーパーの棚、デパートのお歳暮用品売り......
単語の意味
歳末(さいまつ)
偽装・擬装(ぎそう)
装い(よそおい)
歳末・・・年の暮れ。年末。歳晩(さいばん)。
偽装・擬装・・・1.偽(いつ)り装(よそ)うこと。ある事実をおおい隠すための、装いや行動。他人の目をごまかすため、他の物事や状況を装うこと。
2.周囲の風景や他の物とよく似た色や形にして、姿を見分けにくくすること。カムフラージュ。
2.周囲の風景や他の物とよく似た色や形にして、姿を見分けにくくすること。カムフラージュ。
装い・・・1.身なりや外観を整えること。美しく飾ること。目的や雰囲気に応じた飾り付け、身なり、設備などのこと。また、その姿。装飾。装束。よそい。
2.目にしたようす。趣き(おもむき)。風情(ふぜい)。
3.仕度をすること。準備をすること。
2.目にしたようす。趣き(おもむき)。風情(ふぜい)。
3.仕度をすること。準備をすること。
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鮭(鱒)の味、おいしさを伝える表現・描写(魚類のカテゴリ)の一覧 ランダム5
普段はほのかに虹色に輝く鮭の腹は、産卵期には緋鯉のように真っ赤になる
大庭みな子 / がらくた博物館 amazon
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(戦前の東京)冬至がすぎると、夜毎に冴えわたってきて、町には暦売りが出て来るし、町の物音がちがってくる。 いまの東京の町の音は、車輛と工事の騒音のみになってしまい、これは春も夏も、師走だとて変ることがない。人の暮しにも季節がなくなってしまった。 町をながすさまざまな物売りの声や、道行く人びとの声までも、大晦日へ向ってあわただしく、 「押しつまってくる……」 のであった。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
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沖で獲れた白魚は平たい籠に盛られていて、小さな細い透明な体から籠の目が透き通って見えるほど
池畑正太郎 / 梅安料理ごよみ amazon
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金魚売りが天秤棒 をになって、無理にも春をよび覚 ますような売り声を立てる季節にはなった
有島武郎 / 生まれいずる悩み
快かった風が冷たい冬の棘に変わる
連城三紀彦 / 一夜「日曜日と九つの短篇」に収録 amazon
窓を開けると柔らかい陽と草の匂いの交じった春の匂いがして、桜がつぼみをつけていること、これがしばらくすると満開の淡いピンクの空間をうみだすこと。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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