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私はいつも、ちょっとひっかかれたくらいでも、おおげさに倒れてのたうち回り、〝ほら、こんなところに傷が!〟と傷口を指さして相手を非難する。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ ページ位置:95% 作品を確認(amazon)
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......ず、被害者の立場で私を責めないニに、ちょっと男らしさを感じた。ニはきっと、自分はだれかに傷つけられるほどやわであってはならないという気概があるのだ。私にはない。私はいつも、ちょっとひっかかれたくらいでも、おおげさに倒れてのたうち回り、〝ほら、こんなところに傷が!〟と傷口を指さして相手を非難する。 頭を抱えるのをやめて私に向き直ったニは厳しい瞳をしていた。「妊娠してないのに妊娠したと言うなんて、感情的になっていたとしても、社会人のつく嘘じゃない。倫理的に......
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