道に迷った犬のように戸惑う

びくびくする

野良犬 のように一人の司祭が震えながら蹲っている

おぞましい

歯が金物のようにガチガチなる

黒い影が幾つも頭上を横切っていく。それが警告だったみたいに、無風の静けさを破って断崖の下から強い突風が吹き上げてくる。木々の枝が揺れる。

いやな予感はますます高まり、俺はなんだか動悸がしてきた。

背中の毛穴が開いて、悪い予感がたっぷりと溶け込んだ汗が滲み出てきた。

夕陽がビル群の向こうに落ちかけており、まるでこれからの私の将来を暗示しているような気がした。

（男の前を通り過ぎようとした）その一瞬、暴力的な思念が強烈な電流のように青豆（女の名）の肌を貫いた。ポニーテイル（の男）の手がさっと伸びて、彼女の右腕をつかもうとした。《…略…》そういう生々しい一瞬の気配がそこにはあった。《…略…》この男は私が何かをおこなったことを感じ取っている。この部屋の中で何かがもちあがったことを直感的に認知している。何かはわからないが、ひどく不適切なことが。彼の本能は「この女を捕らえなくてはならない」と告げている。《…略…》確証はない。単なる思い違いであった場合には、ひどく面倒な立場に置かれることになる。彼は激しく迷い、そして結局あきらめた。《…略…》青豆はポニーテイルの意識がその一秒か二秒のあいだに通過した一連の段階を、ありありと感知することができた。

絶望的な不安

不安で背筋が縛られた鶏みたいにもがく

腹の奥から酸がせり上がってくる

煩う

煙のように意識が薄まっていく