重たい石の下から僅に頭を持上げた若草のような娘

重い石の下から僅かに頭を持上げた若草のような娘

（少女の肩を抱く）睦子に近づき父親のように肩を抱いた。肩は細く、まだ子供で、ダブダブの私の上衣越しに背中を撫でると、背中の肉も薄かった。

楚楚とした黒い瞳の初心な箱入り娘

咲き誇る花のように美しい娘

母からの愛情をエネルギー源として動く、小動物のよう

少年と青年の間をうろうろしていた年ごろ

カップを差し出す手も美しい。二十数年もの間、家事をしてきた手とはとても思えなかった。私はそういう母が好きだけれど、ちょっと気味悪くも思った。何か人よりもずるいことをして、年を取りそこねているような感じがした。

慣れないスポーツブラのゴムが、私のあばら骨を締めつけていた。 　このところ、胸が痛い。膨らみかけている痛みだと、性教育の授業で教わった。近いうち、私もホックのブラジャーをつけないといけなくなるかもしれない。 　膨らみかけているこの街も、こんなふうに痛みを感じてるんだろうか。

物事をひねくれた視点で眺める思春期の少年らしい考え方

罪作りな女神

単に、きりょうが美（い）いというばかりでなく、品がいい、髪の毛がいい、唇がいい、眼もとがいい。 　それに背や、肉づきまでが、治郎吉が描いて持っている好みにぴったりと来ている。

彼の心地に宿った露草のようないじらしい恋人

開き切った花のような中年の美しさ

水と油のように夫婦の間には截然（せつぜん）たるしきりがあって、それも落ちついて、しきりが水平線を保っていればまだしもだが、水と油が双方から働らきかけるのだから家のなかは大地震のように上がったり下がったりする。ここにおいて夫婦雑居はお互の損だと云う事が次第に人間に分ってくる。