いくらか習わされた良家的の字には違いないが、生来の強い我 が躾 の外へはみ出していて、それが却 って清新な怜悧 さを表わしているといった字体
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:48% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......いう返事を出して好いか判らなかった。何となく懐しいような、馬鹿らしいような、煩わしいような恥らわしい自己嫌悪にさえかかって、そのまま手紙を二三日放って置いた。 いくらか習わされた良家的の字には違いないが、生来の強い我 が躾 の外へはみ出していて、それが却 って清新な怜悧 さを表わしているといった字体で、それ以後五六本の手紙がかの女に来た。字劃 や点を平気で増減していて、青年期へ入ったばかりの年齢の現代の若ものに有り勝ちな、漢字に対する無頓着 さを現わしていたが......
単語の意味
清新(せいしん)
怜悧・伶俐(れいり)
清新・・・新しくて清々しいさま。新鮮で活気が溢れているさま。
怜悧・伶俐・・・利口なこと。賢いこと。頭の回転が速いこと。また、そのさま。
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字配りは歪んでいるが、読んで読めないことはない字が、虫が這ったように並んでいる。
上林 暁 / 聖ヨハネ病院にて amazon
緑子の字は予想と違ってなんというか肉厚で、一文字一文字の顔が大きくてしかし全体的には足が揃っていて読みやすく
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
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老眼鏡でなければ、足をこわばらせた虫のようにぼけてしまう細かい字
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
「だから、……見たかったんだよ。」 蒔野は、その意味するところを、彼女が取り違えないような目で言った。「だから」というのは、あなたのことをもっと知りたいから、という接続詞だった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
蟻がわがまま放題に行列を作っているような、赤ん坊が不恰好に積み木を重ねたような、偶然で無秩序で取り留めのない数字の羅列
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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