歯がズキズキする程胸さわがしくなって

濃霧に塞がれた森の中へ踏み込むような一種の不安

（相手が何を言い出すのか不安で目をそらせない）不安が込み上げてくる。抗い難い吸引力が働いて、数秒間、探り合うような目と目を 逸らすことができずにいる。今にも陣治の口が動いて、何か予想もつかないことを言い出すのではないかと、首筋に力が入る。

明日からどうやって学校に行けばいいのだろうと、目の前が真っ暗になっていきました。学校に爆弾でも落ちればいいのに。明日、目が覚めたら世界が終わっていたらいいのに。そんなどうしようもないことを考えている

不安と恐怖が心の芯をぎゅっとつかんでいる。締め付けてきて、苦しい。

手が震える。必死にイアフォンのコードを引っ張り耳に突っ込む。麻薬中毒がドラッグを求める姿と似ていた。不安感が自分を押し潰す前に、クスリを投与しなくてはいけない。クスリは耳から注入する。ウォークマンの再生ボタンを押した。 　病院の名は、「ビートルズ」だ。この場合の薬剤師はきっと、「ジョージ・ハリスン」で、薬の名前は、「HERE COMES THE SUN」だった。 　ボリュームを上げ目を閉じ、じっと聴く。「It's All Right」と繰り返される。豊田はそれを自分の中で何度も繰り返した。「大丈夫だ。大丈夫だ。It's All Right」と繰り返し、不安感を取り除いていく。二回同じ曲を聴く。

雨音が少し、不安にさせた。

不安で落ち着かない気分を掻き立てられる

屠殺（とさつ）される前の不安な状態が胸を締めつける。

どうすることもできない不安

あたりの暗闇まで一緒に脈打って感じられる程胸をどきつかせ

胸がキリキリと 疼き出し、居ても立ってもいられない気持ちでいっぱい

怪しげな不安が胸から消えない

懸念が胸にこたえる

この痛みは食中毒とは違い、臓器そのものが異変を起しているような疼痛だった。胸のむかつきもそこから発しているようだった。

貧困の脅威は曇天のように信輔の心を圧しはじめた。

その不安は、池に張った薄氷のように私の心を覆うが、稀に破れる。しかし一夜にしてまた同じ氷が水面を覆い隠す。

宙に浮いているような心もとない気分

雨のようにきりなく叩いてすぎる戦慄への予感

そら恐ろしい気持ちが稲妻のように走る

一時間にも感じられた数分の後、

砂金のように濃（こま）かく汗の玉の吹き出た薫

あやめの切り花のように、花を養う水が根から上がって来ないので、水分が不足したような顔つき

胸が 潰れるほど長い時間だった。

びろうどのような汗