禁断の木の実を始めてくいかいだ原人のような渇欲
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:54% 作品を確認(青空文庫)
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欲望・本能・欲求
我慢できない・気持ちが抑えられない
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前後の文章を含んだ引用
......いていた。放縦という事務長の心 の臓は、今不用心に開かれている。あの無頓着 そうな肩のゆすりの陰にすさまじい desire の火が激しく燃えているはずである。葉子は禁断の木の実を始めてくいかいだ原人のような渇欲をわれにもなくあおりたてて、事務長の心の裏をひっくり返して縫い目を見窮めようとばかりしていた。おまけに青年の肩に置いた葉子の手は、華車 とはいいながら、男性的な強......
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食物と同じに必要な芸術的雰囲気の欠乏
宮本百合子 / 伸子
とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。とどきそうにない遠くのお星さまに向かって手を伸ばす、このよくばりな人間の性が人類を進化させてきたのなら、やはり人である以上、生きている間はつねに欲しがるべきなのかもしれない。みんなの欲しがる気持ちが競争を生み、切磋琢磨でより質の高いものが生みだされていくのですね。でも疲れたな。まず首が疲れた。だってずっと上向いてるし。いつからだろう、さらなる飛躍という言葉が階段を駆けのぼるイメージではなくなり、遠くで輝くものを飛び上がってつかみ取り、すぐに飽きてまるきり価値のないものとして暗い足元へ放る、そしてまた遠くへ向かって手を伸ばす、そのくり返しのイメージに変わってきたのは。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
ガスに火をつけるみたいに、欲望の青い火がポッ燃え上がる
田辺 聖子 / 休暇は終った amazon
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二人の愛の熱度がシーソーのように上下する
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
恍惚とした無抵抗状態になる
岡本かの子 / 巴里祭
博士はルートをほめるのに、労力を惜しまなかった。ほめている間に、どんどん時間だけが過ぎて、宿題が一向にはかどらなくても焦らなかった。ルートがどんなに愚かな袋小路へ入り込んだ時でも、川底の泥から一粒の砂金をすくい上げるように、小さな美点を見出だした。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
うつくしい夢のように、うっとりした目でながめていた。
芥川龍之介 / 偸盗
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