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朝の空を今まで蔽 うていた綿のような初秋の雲は所々ほころびて、洗いすました青空がまばゆく切れ目切れ目に輝き出していた。青灰色によごれていた雲そのものすらが見違えるように白く軽くなって美しい笹縁 をつけていた。海は目も綾 な明暗をなして、単調な島影もさすがに頑固 な沈黙ばかりを守りつづけてはいなかった。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:62% 作品を確認(青空文庫)
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雨上がり・晴れ間がのぞく
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前後の文章を含んだ引用
......そいそと駆けて行った。その後ろ姿を見ると葉子は胸に時ならぬときめきを覚えて、眉 の上の所にさっと熱い血の寄って来るのを感じた。それがまた憤 ろしかった。 見上げると朝の空を今まで蔽 うていた綿のような初秋の雲は所々ほころびて、洗いすました青空がまばゆく切れ目切れ目に輝き出していた。青灰色によごれていた雲そのものすらが見違えるように白く軽くなって美しい笹縁 をつけていた。海は目も綾 な明暗をなして、単調な島影もさすがに頑固 な沈黙ばかりを守りつづけてはいなかった。葉子の心は抑 えよう抑えようとしても軽くはなやかにばかりなって行った。決戦……と葉子はその勇み立つ心の底で叫んだ。木村の事などはとうの昔に頭の中からこそぎ取るよう......
単語の意味
綻びる(ほころびる)
初秋(しょしゅう・はつあき)
青空(あおぞら)
初秋・・・秋の初めごろ。新秋(しんしゅう)。陰暦7月の異名。孟秋。
青空・・・1.青く晴れた空。雲のない青い空。青く澄んで見える空。碧空。蒼天。
2.他の語に付いて「戸外で行う」「屋外」「露天」の意味を表す。
2.他の語に付いて「戸外で行う」「屋外」「露天」の意味を表す。
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雨上がり・晴れ間がのぞくの表現・描写・類語(晴れ・曇りのカテゴリ)の一覧 ランダム5
一度日が陰って暗澹 としたあたりの景色になったが、それを最後に空は全体として明るくなって来た。
岡本かの子 / 母子叙情
猛烈な音を立てていた土砂降りが、手綱を引いたようにやむ
カレル チャペック / 園芸家12カ月 amazon
雨はもうすっかり上がっていたが、門を出てくる女の子たちは疑ぐり深そうに空を見上げながら傘をさしたりすぼめたりしていた。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
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午後、僅かながら空が晴れました。空は地面にのこっている水溜りにその 碧色 と白い小さな雲とをうつす。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
(朝日にさらされた犬の置物)光とほこりの 匂いの中で犬は、まるで雪景色の中にいるように清らかに見えた。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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