膝の上で両拳を握っていたことに気づいた。局長室を出る前からそうしていたに違いなかった。開くと、手のひらに爪の赤い痕が幾つもついていた。また握る。強く、痛いほどに。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 ページ位置:77% 作品を確認(amazon)
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こぶしを強く握る
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前後の文章を含んだ引用
......「写真部の連中がコソコソ話してたんだ。今日、神沢と一緒に登った遠野が見たらしい」「遠野に聞いてみなかったのか」「今、暗室だ」 悠木は荒い息を吐き出し、その拍子に膝の上で両拳を握っていたことに気づいた。局長室を出る前からそうしていたに違いなかった。開くと、手のひらに爪の赤い痕が幾つもついていた。また握る。強く、痛いほどに。 そう、殴りたい奴は山ほどいる。時間と競走しながらナマモノの新聞を作っているのだ。喧嘩や罵声の応酬はしょっちゅうだ。だが──。 新聞社といえども、会社組織である......
単語の意味
手の平・掌(てのひら)
膝(ひざ)
手の平・掌・・・手首から先の、物を握ったときに内側になる面。掌(たなごころ)。
膝・・・1.足の関節部で、腿(もも)と脛(すね)とを繋ぐところの前面。腿と脛の境の前面部。膝頭(ひざがしら)。
2.座ったときの、腿の上側にあたる部分。大腿部(だいたいぶ)。
2.座ったときの、腿の上側にあたる部分。大腿部(だいたいぶ)。
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こぶしを強く握るの表現・描写・類語(怒りのカテゴリ)の一覧 ランダム5
両拳を握りしめて泣いている。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
黒い毛の沢山に生えた手を節の上だけが白くなる位堅く握り締めて
志賀直哉「暗夜行路 (講談社文庫)」に収録 amazon
手の甲に筋が浮き出るほど強くそれを握りしめた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
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高慢な唇を反らせて、かう云つた。
芥川龍之介 / 芋粥
「悔やむ」カテゴリからランダム5
悔悟の念に攻められ
伊藤左千夫 / 野菊の墓
(見殺しにした良心の呵責)殺した、殺した、殺した、殺した……耳もとでだれかの声がリズムをとりながら繰りかえしている。(俺あ、なにもしない)勝呂はその声を懸命に消そうとする。(俺あ、なにもしない)だがこの説得も心の中で 撥ねかえり、小さな渦をまき、消えていった。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
私は、この人に十円あまりも借りがあって、それを払えないのがとても苦しい
林芙美子 / 新版 放浪記
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