目を背けたいようなまぶしい陽光の五月の街

日差しは暖かいが、夏はまだ遠く、町は落ち着いた雰囲気だった。

ほろほろとこぼれるような春の陽

田舎町には桜が咲き、やわらかな春風が日光を絹のように漉して流れた。

日差しは柔らかく、目に映るものすべてに平等に降り注いでいた。噴水に浮かぶ虫の 死骸 さえ、輝いて見えた。

空には雲ひとつない。それでいて全体がぼんやりとした春特有の不透明なヴェールに被われていた。その捉えどころのないヴェールの上から、空の青が少しずつ滲み込もうとしていた。日の光は細かな埃のように音も無く大気の中を降り、そして誰に気取られることもなく地表に積った。

春、 未だ地面に雪の残っている頃だった。

札幌の六月は素敵な季節だった。雪解けはずっと前に終わり、ほんの数ヶ月前には固く凍えていた大地は今は黒々として、柔らかな生命の息吹をたたえていた。木々は青い葉をいっぱいに茂らせ、清潔で優しい風がその葉を揺らせていた。空は高く透き通り、雲は輪郭をくっきりとさせていた。

四月の暑くもなく寒くもない曇った夕暮

冬と春との入れかわる三月だ。