(タン)彼は血の痰を見てももうなんの刺戟 でもなくなっていた。が、冷澄な空気の底に冴 え冴 えとした一塊の彩 りは、何故かいつもじっと凝視 めずにはいられなかった。
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:4% 作品を確認(青空文庫)
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唾液・よだれ・つば
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前後の文章を含んだ引用
......の洗濯は夙 うに済んでいて、漆喰 は乾いてしまっている。その上へ落ちた痰は水をかけても離れない。堯 は金魚の仔でもつまむようにしてそれを土管の口へ持って行くのである。彼は血の痰を見てももうなんの刺戟 でもなくなっていた。が、冷澄な空気の底に冴 え冴 えとした一塊の彩 りは、何故かいつもじっと凝視 めずにはいられなかった。 堯はこの頃生きる熱意をまるで感じなくなっていた。一日一日が彼を引き摺 っていた。そして裡に住むべきところをなくした魂は、常に外界へ逃れよう逃れようと焦慮 っていた......
単語の意味
冴え冴え(さえざえ)
凝視(ぎょうし)
冴える・冱える(さえる)
冴え冴え・・・1.とても澄んでいて、少しの陰りもないさま。晴れ渡っているさま。さわやかなさま。
2.冬の厳しい寒さが身にしみるさま。
2.冬の厳しい寒さが身にしみるさま。
凝視・・・目を凝らして一点を見つけること。目を大きく見開いてじっと見つめること。
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もつれた蜘蛛の巣のような唾液
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
唾液を口の中でぐるぐる回し白く濁らせ水飴のようにして舌に乗せ
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
結びきらない口の尻からひげをぬらして水飴のような涎(よだれ)が流れて
平林 たい子 / 施療室にて「こういう女・施療室にて (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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赤児が初めて笑い出す靨(えくぼ)のような、消えやすい笑いだ。
横光 利一 / 微笑 amazon
(宗教)勧誘員特有の、自信に満ちた粘っこい微笑み
小川 洋子 / 夕暮れの給食室と雨のプール「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
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