お君さんは背の高い母性的な、気立のいい女だった。

貞女烈婦という概念に帯をしめたり、ストッキングをはかせたりしたような女性

女は子供をうむために生きている。むずかしい手つづきをふむことなんか考えてはいない。男のひとが好きだから身をまかせてしまうきりなのだ。

女は手のかかる赤ん坊のようなもの

彼女は女らしく、まるで鳴らないほおずきみたいに円くかしこまって返事をしていた。

若い女が牛河の事務所を訪れた。まだ二十歳にもなっていないかもしれない。身体の線がきれいに出た丈の短い白いワンピースを着て、やはり白い艶のあるハイヒールを履き、パールのイヤリングをつけていた。小柄な割に耳たぶが大きかった。身長は一五〇センチを少し超えたくらいだろう。髪はまっすぐで長く、澄んだ大きな目をしていた。見習いの妖精みたいに見えなくもない。

頬や額の皮膚に張りがあって血色も良く、清潔なものが勝気そうな顔立ちに漂っていた。

もっと華やかな職業に就いていてもおかしくない

黄色い小花を散らしたワンピースは、英子の色白の肌によく映えた。その女らしさには、自分よりももっと遠くのものを知っているような 風情 が宿っていて、竜夫は一目で気遅れしてしまった。

（恋人に会いたくなる）夕暮れが深まると、 逢いたくなるのだろう、と推測した。きっと彼女の淡さと暗さが、夜になりきれない街の、オパールの夕景に重なり合うのだ。消えてしまう前に捜し出さねば、という気にさせるあの横顔。甘えと拒絶のコントラスト。