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凍えた指の間の煙草の火が夕闇のなかで色づいて来た。その火の色は曠漠 とした周囲のなかでいかにも孤独であった。
梶井基次郎 / 冬の蠅 ページ位置:66% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
光の大きさ
タバコ
夕闇
孤独・一人ぼっち
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前後の文章を含んだ引用
......のように悪寒が退いてゆくのを待っている。―― あたりはだんだん暗くなって来た。日の落ちたあとの水のような光を残して、冴 えざえとした星が澄んだ空にあらわれて来た。凍えた指の間の煙草の火が夕闇のなかで色づいて来た。その火の色は曠漠 とした周囲のなかでいかにも孤独であった。その火を措 いて一点の燈火も見えずにこの谿は暮れてしまおうとしているのである。寒さはだんだん私の身体へ匍 い込んで来た。平常外気の冒さない奥の方まで冷え入って、懐ろ......
単語の意味
夕闇(ゆうやみ)
広漠・宏漠・曠漠(こうばく)
夕闇・・・日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。夕方、月がなくて暗いこと。
広漠・宏漠・曠漠・・・広々としてどこまでも広がっている様子。
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娘はマールボロの箱を手にとって一本抜きとり、火をつけずにしばらく手の中で転がしていた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
山仕事をするものは、山火事を恐れるからか、喫煙の習慣があまりない。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
吸っていたマルボロを水を張った空き缶の中に放りこんだ。じゅっ、と音がして煙草の火がかき消えた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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僕はソファーの上で目を覚ました。灯りは消え、部屋は濃い夕闇に覆われていた。体の芯から指先までがしびれていた。皮膚をとおしてインク色の夕闇が体にしみこんでいるような気がする。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
夜の闇があまりにも深くて、俺は少し怖くなった。周囲の山の影がのしかかってくる気がする。音だけを響かせる川が、霧ごとせりあがってくる気がする。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
有島武郎 / 或る女
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何ヵ月も何年も、僕はただ一人深いプールの底に座りつづけていた。温かい水と柔らかな光、そして沈黙。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
身を噛むような孤独
梶井基次郎 / 闇の絵巻
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孤独は太陽のように私を灼いた。
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
梨のつぶてのように、私一人を東京においてけぼりにする
林芙美子 / 新版 放浪記
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(女は)空色の線のはいった幾らか明るい色調の春のスーツに着変えて、それが夕暮の光のまだ残っている駅前の広場の中に柔らかくとけ入るように見えた
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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バラの花びらをすかしてみるような夜あけの光
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
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