空気が硝子（ガラス）のように冷たくて、塵（ちり）一本なく澄んでいた。

ガラスのような透明な大気

作りたてのように清浄な空気

驟雨に洗われた、草と水の匂いにする澄み切った大気

「空気がいい故（せい）と見えて、こっちへ来たら不眠なんぞすっかり忘れたようになってしまったよ」

ステージが暗転する。その間に、デビュー曲の立ち位置につく。この瞬間だけは、あんなにもうるさかった会場から音が消え、メンバーの呼吸音が静かに重なる。

ずっと救命を続けているんですが、ちょっとこれ、心臓が動き出す気配がないもんですから……」 　尋恵は重い空気に全身をからめとられて、身じろぎ一つできなくなっていた。

部屋の感じが今より少しでもよそよそしく感じられたら

外の景色が一切見えない気の塞ぐスペース

家の中はにわかにピリピリとした緊張感に包まれた。