馬の首につけられた鈴の音がさえた響きをたててかすかに聞こえて来る。それは漂浪の人がはるかに故郷の空を望んだ時のようななつかしい感じを与える。その消え入るような、さびしい、さえた音がことになつかしい。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:86% 作品を確認(青空文庫)
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鈴・ベル
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前後の文章を含んだ引用
......いた。ようようの事で君は雪の中から爪先 をぬいて一歩一歩本道のほうへ帰って行った。はるか向こうを見ると山から木材や薪炭 を積みおろして来た馬橇 がちらほらと動いていて、馬の首につけられた鈴の音がさえた響きをたててかすかに聞こえて来る。それは漂浪の人がはるかに故郷の空を望んだ時のようななつかしい感じを与える。その消え入るような、さびしい、さえた音がことになつかしい。不思議な誘惑の世界から突然現世に帰った人のように、君の心はまだ夢ごこちで、芸術の世界と現実の世界との淡々しい境界線をたどっているのだ。そして君は歩きつづける。 い......
単語の意味
望む(のぞむ)
首・頸・頚(くび)
馬(うま)
望む・・・1.遠くを眺める。その方向に目を向けてみる。
2.希望する。そうあってほしいと強く心に思うこと。
2.希望する。そうあってほしいと強く心に思うこと。
首・頸・頚・・・1.頭と胴体をつなぐ細い部分。頸部(けいぶ)。また、「頭」そのものを指す場合もある。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
馬・・・1.ウマ科の哺乳動物の総称。古くから耕作・運搬・常用に使う重要な家畜。体が大きく、首・顔が長く、鬣(たてがみ)がある。草食。
2.脚立(きゃたつ)の異称。四方に開いた支脚を有する台。
3.将棋で角の成ったもの。竜馬(りゅうめ)。成り角。
4.「つけうま」の略。遊興費の不払いを取り立てるため客に同行する者。
5.体操で跳馬のこと。またその用具。
2.脚立(きゃたつ)の異称。四方に開いた支脚を有する台。
3.将棋で角の成ったもの。竜馬(りゅうめ)。成り角。
4.「つけうま」の略。遊興費の不払いを取り立てるため客に同行する者。
5.体操で跳馬のこと。またその用具。
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引きつるような響きでなりつづけていた低いベルの音
野間宏 / 第三十六号「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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