後ろめたさに胸が締めつけられる

轢かれた猫の死体を放って帰るような、後ろめたさを感じながら、その場を後にした。

後ろめたい

（自責の念と悪い想像）だが、真夜中、その想像が不意に彼の眼をさまし、鋭い 爪 の先で胸の 芯 を目茶目茶にかきむしることがあった。そして思わず 呻き声をあげて 布団 からとびあがる。

自分の過去を否定する

いまでも、最後に彼女がそう言ったときの小さな笑みを、ときどき思い出す。その笑みが心の右はじあたりに小さな痛みとして住み着いて、雨の日にはまるで古傷のように顔を出す。 　でもよく考えたら、僕の心にはそんな小さな痛みがたくさんある。その小さな痛みのことを、人は後悔と呼ぶのだろう。

悪事でも働いたように胸が痛い

悔しくてぶんぶん当り散らす

愛惜の情

冷ややかな悔恨が泉のようにわき出した。

切り裂くように胸が痛む

地団太を踏むほど無念

言いようのない悔し涙が湧き返る

痛いほど悔いる

胸がえぐられるほどの自責

返し難くなる借金のように心の負い目を増す

打っているうちに、蹴っているうちに、おれはいつでも、おれ自身を折檻（せっかん）しているような心もちがした。

（黒い憂鬱の浸食）ゼリー状の憂鬱とでも言うべき、暗澹たるものが胸の中に広がりはじめ、それが自分の頭をも占領するのをひしひしと感じた。　黒い感情が、蝉の内側に充満する。湿って粘着性のあるものにも感じられたが、乾燥して水分のまるでない干涸らびた思いにも感じられた。これは、と蝉は朦朧とする頭で考えていた。これは何だよ。　どろどろとした沼で喘ぐような気持ちで、頭を回転させる。馴染みのない憂鬱さに、戸惑い、怯えた。自分に対する失望や落胆、幻滅に似た、何かに襲われている。阻喪とも放心ともつかない。　しばらくして、まさか、と思い至った。ふいに、まさかこれは、俺の中の罪悪感が溢れかえっているんじゃねえだろうな、と気がついた。

心に苦い悔恨が湧いてくる

（後悔は）どこまでも尽きない原始林のように心の中に薄暗く生い茂った。

恋々たる感情が泉のように溢れて来る

引力に抗する思いで玄関を出た

良心がちくちくする

盗品を匿（かく）し持っているような後ろぐらさ

轢かれた猫の死体を放って帰るような、後ろめたさを感じながら、その場を後にした。

残り惜しい

悔しさでカッとのぼせる

自分のあまりといえばあまりに残虐な心に胸の中がちくちくと刺されるようになった。

緊張が漏れ出ないようにぎゅっとてのひらを握った。

やや後ろめたい気がする