触れ合うことのない深い孤独の底で、今度こそ、ついに本当のひとりになる。 人は状況や外からの力に屈するんじゃない、内から負けがこんでくるんだわ。と心の底から私は思った。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:78% 作品を確認(amazon)
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孤独・一人ぼっち
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......店のガラス戸をじっと見つめて、風に揺れる外の音をぼんやり聞いていた。道ゆく人が寒い寒い、と言い合うのが聞こえた。夜は今日も世界中に等しくやってきて、過ぎてゆく。触れ合うことのない深い孤独の底で、今度こそ、ついに本当のひとりになる。 人は状況や外からの力に屈するんじゃない、内から負けがこんでくるんだわ。と心の底から私は思った。この無力感、今、まさに目の前で終わらせたくないなにかが終わろうとしているのに、少しもあせったり悲しくなったりできない。どんよりと暗いだけだ。 どうか、もっと明る......
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