店内の雰囲気の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ある日の晩大町という所を散歩していたら郵便局の隣に蕎麦とかいて、下に東京と注を加えた看板があった。《…略…》東京と断わる以上はもう少しきれいにしそうなものだが、東京を知らないのか、金がないのか、めっぽうきたない。畳は色が変わっておまけに砂でざらざらしている。壁は煤でまっ黒だ。天井はランプの油烟でくすぼってるのみか、低くって、思わず首を縮めるくらいだ。ただ麗々と蕎麦の名前をかいて張りつけたねだん付だけはまったく新しい。なんでも古いうちを買って二、三日まえから開業したに違いなかろう。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
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