いい感じで観光スポットが点在する都市

海は、サンゴ礁の中とはいえ、あまり遠浅でなく泳ぎよかった。すき透った水は、まるでゼリーのように柔らかく優しく、下を見ると、きれいな魚が泳いでいた。海辺にねころんだり、本を読んだりしている人の中には、トップレスの女性も多かった。きれいな人は、美しさを誇るごとくだったが、ひどく太ったおばさんも、平気で裸になっていた。

照りつける太陽のもと、白い砂の上に寝ころんで、なにもかも忘れてぼんやりすごしたらどんなに幸せなことだろう

エメラルドグリーンのサンゴ礁にかこまれた緑の島。

熱海の町へ下りると、そこはもう車輛の騒音と排気ガスが渦巻く温泉都市であった。

やがて、酒宴と舞踏は深まった。威勢良き群衆は合唱から叫喚（きょうかん）へ変って来た。そうして、夜の深むにつれて、彼らの騒ぎは叫喚から呻吟（しんぎん）へと落ちて来ると、次第に光りを失う篝火と一緒に、不弥の宮の群衆は、間もなく暁の星の下で呟（つぶや）く巨大な獣（けもの）のように見えて来た。

初詣と言っても、特にすることがあるわけではない。お賽銭を投げ入れ、お参りをし、おみくじを引き、枝に結んでしまえば、もう終わりだ。

（渋滞の予感）信号のたびに車が増えていく感じはしていた

夕刊の記事に間に合う時間だ。《…略…》マスコミへの発表のタイミングといい、時間の設定といい、入念に仕組まれた記者会見であることは明らかだった。

（空襲直後）屋上に登るとＦ市の東西南北から一斉に白煙がたちのぼっている。煙がうすれるたびにダイダイ色の炎がゆれるのがはっきりと見えた。