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かゆい痒いと云いながら無暗むやみに顔中引きいたのだそうだ。ちょうど噴火山が破裂してラヴァが顔の上を流れたようなもので、親が生んでくれた顔を台なしにしてしまった。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:67% 作品を確認(青空文庫)
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あばた・ニキビ跡
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前後の文章を含んだ引用
......も実は種え疱瘡をしたのである。不幸にして腕に種えたと思ったのが、いつのにか顔へ伝染していたのである。その頃は小供の事で今のように色気いろけもなにもなかったものだから、かゆい痒いと云いながら無暗むやみに顔中引きいたのだそうだ。ちょうど噴火山が破裂してラヴァが顔の上を流れたようなもので、親が生んでくれた顔を台なしにしてしまった。主人は折々細君に向って疱瘡をせぬうちは玉のような男子であったと云っている。浅草の観音様かんのんさまで西洋人が振りかえって見たくらい奇麗だったなどと自慢する事さえある。なるほど......
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