どんな襖絵もかなわないほど豪華な、桜の大木。山桜だろうか。白い八重の花を枝先に無数に咲かせ、遠目には霞が湧き立ったように見えた。近づくと、花びらの縁がごくごく薄い緑色をしているのがわかる。山の緑を映したみたいに、すがすがしい色合いだ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 ページ位置:37% 作品を確認(amazon)
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桜
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前後の文章を含んだ引用
......くる。顎が上がりはじめたころ、ようやく山頂に着いた。視界が拓け、俺は思わず、「うわあ」と声を上げた。 草の緑に覆われた、天然の大広間がそこにはあった。中央には、どんな襖絵もかなわないほど豪華な、桜の大木。山桜だろうか。白い八重の花を枝先に無数に咲かせ、遠目には霞が湧き立ったように見えた。近づくと、花びらの縁がごくごく薄い緑色をしているのがわかる。山の緑を映したみたいに、すがすがしい色合いだ。「どうや、神去桜は」 ヨキが振り向き、誇らしそうに言った。ヨキの背で、繁ばあちゃんも歯のない口で笑っている。「すげえ……」 そう返事するのがやっとだった。神去桜......
単語の意味
霞(かすみ)
山桜(やまざくら)
遠目(とおめ)
清清しい・清々しい(すがすがしい)
霞・・・1.遠くにある山などの前に、帯状の煙りのようなものが見える現象。春の朝などによくある、遠くをはっきり見えなくさせる雲のようなもの。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
山桜・・・山に咲く桜。
遠目・・・1.遠方までよく見える目。
2.遠くの方から見ること。また、遠くから見たようす。
3.遠くの方しか見えず、近くの物体や細かい文字がはっきり見えない目。また、その状態。遠眼(えんがん)。遠視(えんし)。 ⇔ 近目(ちかめ)。
4.普通より遠いさま。 ⇔ 近目(ちかめ)。
2.遠くの方から見ること。また、遠くから見たようす。
3.遠くの方しか見えず、近くの物体や細かい文字がはっきり見えない目。また、その状態。遠眼(えんがん)。遠視(えんし)。 ⇔ 近目(ちかめ)。
4.普通より遠いさま。 ⇔ 近目(ちかめ)。
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桜の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
満開の桜が、うららの春霞の下で眠くなるような色合いで連なっている
阿久悠 / 瀬戸内少年野球団 amazon
薄ピンクの篝火みたいに咲き誇る桜
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
桜がいかにも雪に洗われて咲いたという感じ
太宰治 / 津軽 amazon
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「春」カテゴリからランダム5
花吹雪の時には、花びらがおびただしく海に散り込み、海面を鏤 めて漂い
太宰治 / 人間失格
けきょ・けきょ・けきょと谷渡りをやる
小沼 丹 / 小さな手袋 amazon
もう四月が来ると云うのに、雪でも降りそうなこの寒い空
林芙美子 / 新版 放浪記
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