寮の静けさは相変わらずだった。寮の奥の方で誰かの歩く気配が微かにしたと思うと、すぐに風の音に紛れてしまった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:44% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
静けさ・静寂
ひっそりと佇む
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......く先生の部屋でしばらく待たせてもらうことにした。わたしたちは縁側に腰掛け、おみやげに持っていった苺のショートケーキを一緒に食べた。 新学期が始まったというのに、寮の静けさは相変わらずだった。寮の奥の方で誰かの歩く気配が微かにしたと思うと、すぐに風の音に紛れてしまった。わたしがいた頃にはいつも、どこかでラジオカセットの音楽や笑い声やバイクのエンジン音が響いていたのに、今はそういう生気に満ちた音がすっかり掃き清められたようになっ......
ここに意味を表示
静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(ひっそりとした町)首をしめられたような町の中
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
耳を塞がれたかと思うほど静か
竹西 寛子 / 天馬の丘「長城の風」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
ひっそりと佇むの表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
普門寺は日だまりに転び寝したような閑寂さの中に古りさびていた。
石川 達三 / 日蔭の村 amazon
丁度枕元をすり足で人が通るような森閑とした家構えで
林 芙美子 / 耳輪のついた馬「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「音の響き」カテゴリからランダム5
雪はまだやまない。音はすべて雪に吸い込まれて、静かさよりもうひとつ上の状態にあるようだった。無をとおりすぎて、耳鳴りのようなかすかな音が聞こえるのだ。
林 真理子 / 京都「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
(ギター演奏、音楽鑑賞)楽曲の全体が、星空のように広大に、遥かに見渡されて、しかも旋律は、星座のように整然と結び合い、決して見失われることがなかった。その多彩な一音一音に耳を澄ますことには、星の光の一つ一つに目を凝らすような楽しみがあり、興奮があった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
「家・建物」カテゴリからランダム5
二階建ての物件は見るからに骨董品だ。階段も手すりも各部屋のサッシも赤茶色に錆び付いている。細いヒビが毛細血管のように走る壁は汚水が染みこみ、淀んだ色に染まっていて新築当時の色彩が判別できないありさまだ。
七尾与史 / 死亡フラグが立ちました! amazon
双子のマンションと言われるのも分からないでもなかった。住宅街に細長いマンションが二棟並んで立っているのだ。無用のシンボルなのか給水用のタンクなのか、さもなくば住人専用のプラネタリウムでもあるのか、屋上には球体のオブジェが載っていて、建物全体が巨人の姿にも見える。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
古自動車の解体された残骸が、近代の戦場のような無残な姿をさらす
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
六年前と比べ、全体の雰囲気はたいして変わっていなかった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
音の響き の表現の一覧
家・建物 の表現の一覧
感覚表現 大カテゴリ