ぱたん、ぱたん、と頭の戸が次々に開く。不用意に記憶を辿っていくとまずいぞ、と気づいた時には、すでに、開くべきではない戸も開いている。出てくるのは、「助けて」と縋るような目で懇願してくる少年の顔だ。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル ページ位置:30% 作品を確認(amazon)
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心の傷・トラウマ
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前後の文章を含んだ引用
......バスが発車した際の安堵と、乗車賃を持っていないことへの焦りが同時に思い出される。とにもかくにも、小学生でありながらも、七尾は無事に自分の力で逃げることができた。ぱたん、ぱたん、と頭の戸が次々に開く。不用意に記憶を辿っていくとまずいぞ、と気づいた時には、すでに、開くべきではない戸も開いている。出てくるのは、「助けて」と縋るような目で懇願してくる少年の顔だ。「どうしたんですか」七尾の変化を敏感に察知したのか、背広の男は訊ねてきた。「心の傷」七尾は、真莉亜がからかって使った言葉を口にする。「その時、俺以外にも誘拐され......
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心の傷・トラウマの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
その十秒間ほどの情景が、鮮明に意識の壁に焼き付けられている。前もなく後ろもない。大きな洪水に見舞われた街の尖塔のように、その記憶はただひとつ孤立し、濁った水面に頭を突き出している。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
(時々思い出す)何か本当の忘却というのではないが、池のおもてに張った薄氷のような忘却が、まず朝子の悲しみの記憶を覆った。この氷は稀に破れた。しかし一夜にしてまた同じ水面を覆い隠した。
三島由紀夫 / 真夏の死 amazon
そのときの根元的な恐怖が、意識の印画紙に激しく焼きつけられてしまった
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
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「記憶」カテゴリからランダム5
ざわめきが、ぱたりと潮騒を聞かなくなった後の空虚のように耳もとに残る
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
津波のような思い出にあえぎ苦しむ
本庄 陸男 / 石狩川〈上〉 amazon
あの頃の苦しい記憶がちょっと気分を 掠めて通った
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
まだらボケが入る人だが、今はかなり頭がはっきりしている。そんな口調だ。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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