話はぽつんとそれで切れた。好奇心で一ぱいのかの女には却って何やかや観察の時間が与えられ都合がよかったが、常識的の社交の儀礼に気を使うらしい夫人は、ひどく手持ち無沙汰 らしく、その上茶を勧めたり菓子を出したりして、沈黙の時間を埋めることを心懸けているように見えた。
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:67% 作品を確認(青空文庫)
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気まずい
黙る・沈黙
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前後の文章を含んだ引用
......子をちらりと盗 み視 したけれども、かの女はどこの夫人にもあり勝ちな癖だからと、別にこれをこの夫人の特色とも認めることは出来なかった。 かの女は普通に礼を返した。 話はぽつんとそれで切れた。好奇心で一ぱいのかの女には却って何やかや観察の時間が与えられ都合がよかったが、常識的の社交の儀礼に気を使うらしい夫人は、ひどく手持ち無沙汰 らしく、その上茶を勧めたり菓子を出したりして、沈黙の時間を埋めることを心懸けているように見えた。 かの女は、まず第一に夫人を美人だなと思った。それは昔風の形容の詞句を胸のうちに思い泛 べさせる美人だなと思った。いわゆる瓜実顔 に整った目鼻立ちが、描けるように位......
単語の意味
好奇(こうき)
好奇・・・珍しい物ごとやまだ知らないことに強い興味や関心を持つこと。また、そのさま。
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とっさの気まずい場面を繕うため何か言葉を入れてその不愉快な緊張をゆるめようとする
有島武郎 / 或る女
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
すとん。 と幕のように沈黙が落ちてきた。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
芥川龍之介 / 杜子春
むっつり口をつぐむ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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「心」の言葉を含む嫌な気持ちの表現(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
鼻の根を中心にして眼や額や眉 を一度にこの中心に向ってくしゃくしゃとあつめた。見るからに不愉快な容貌 が出来上った
夏目漱石 / 吾輩は猫である
憎悪と涙が心に溢れた。
宮本百合子 / 伸子
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一通りの話を終えると、しばしの沈黙が訪れた。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
水を吸いこんだ笛のように震える声
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
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