(少女に見つめられて)その少女の留保のない率直な視線は、彼の身体からあらゆる力をもぎ取り、持っていってしまったようだった。なんという視線だろう。それは研ぎ澄まされた鋼の長い針のように、彼の胸を一直線に刺し貫いていた。背中まで突き抜けそうなくらい深々と。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 作品を確認(amazon)
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単語の意味
身体(しんたい)
視線(しせん)
背中(せなか)
胸(むね)
鋼・刃金(はがね)
身体・・・人のからだ。肉体。
視線・・・目と、目が見ようとしているモノとを結ぶ線。目が見ている方向。見つめている方向。
背中・・・背の中央。背骨のあたり。動物の胴体の背骨のある側。胸や腹と反対の面で、両肩の間から腰のあたりまでの部分。背(せ)。背面。
鋼・刃金・・・含有する炭素の量を2%以下と少なくし、鍛えて強化した鉄。熱処理によって性質を著しく変化させることができ、多用途。「はがね」の由来は、刃物に用いる金属を意味する「刃金(はがね)」から。スチール。
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恋愛・恋する・恋心の表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
恋愛は常にこのように動揺や不安や悲しさの感情を伴うものなのであろうか?
宮本百合子 / 伸子
自分の中に何かが芽生えるのを感じた。 たとえて言えば、気持ちのいい春の 宵、あまりよく知らないけれど好意を持っている女性と待ち合わせをしていて、どこに食事に行こうか、飲みに行こうかと考えながら電車に乗っているときのような浮かれた感じ、今晩やれるかやれないかとかまったく考えなくても、そのひとの整った立ち居ふるまい、私のために装われたスカーフの 柄 とかコートのすそとか笑顔とかをみていると、まるで遠くの美しい風景を見ているように、自分の心までもがきれいになったような気分になれる感じ、ずっと失われていたそういううきうきするものがそのとき、 香るようにふっとよみがえったのだ。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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彼女の目を見ていると、肋骨のあいだに畳針を刺しこまれたような鋭い痛みを感じた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
恋をすると、いつもダッシュで駆け抜けてゆくのが私のやり方だったが、曇った空からかいま見える星のように、今みたいな会話の度に、少しずつ好きになるかもしれない。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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