（皿の上のケーキにたかるアリ）わたしが一番許せなかったのは、生クリームの表面から連なる一本の黒い筋だ。それはとても精巧に流れているので、最初はじっと動いていないように見える。そして二三度瞬きすると、か細くてもろい足が無数に交差しているのが見えてくる。次から次へとわき出してくる蟻は、皿の縁で一度つまずいて、ボーンチャイナの滑らかな光沢の上をよろけながら進む。生クリームにたどりつくと、そのとろけるような柔らかさの中に自分を埋める。不透明な白い脂肪に紛れ込んだ蟻は、もがくように体をくねらせる。それが何匹も何匹も、うんざりして吐きそうになるくらい続く。

蟻塚がうず高く積もり、蟻が吹き出すように溢れている

蟻が黒く長い一列になって行進する

根方に松葉が落ちていた。その上を蟻（あり）が清らかに匍（は）っていた。

けし粒ほどの小蟻

枯葉色の小さな楯のような形をしたカメ虫

黄色と黒の模様が、不穏な威圧感を感じさせる。虎といい、スズメバチといい、黄色と黒の組み合わせには恐怖を煽る仕掛けがあるな

スズムシ達は歓喜あふれる大合唱に余念がない。

（セミの鳴き声が）三重四重、五重にも六重にも重なって鳴いている。

そのとき、耳元で 藪蚊 の羽音がした。