一日寒空に、切り株の上にさらされていたので、飯粒は一粒一粒ぼろぼろに固くなって、持った手の中からこぼれ落ちる。試みに口に持って行ってみると米の持つうまみはすっかり奪われていて、無味な繊維のかたまりのような触覚だけが冷たく舌に伝わって来る。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:91% 作品を確認(青空文庫)
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おにぎり
冷めた料理
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前後の文章を含んだ引用
......腰かけたままのひざの上でそれを開いた。 北海道には竹がないので、竹の皮の代わりにへぎで包んだ大きな握り飯はすっかり凍 ててしまっている。春立 った時節とは言いながら一日寒空に、切り株の上にさらされていたので、飯粒は一粒一粒ぼろぼろに固くなって、持った手の中からこぼれ落ちる。試みに口に持って行ってみると米の持つうまみはすっかり奪われていて、無味な繊維のかたまりのような触覚だけが冷たく舌に伝わって来る。 君の目からは突然、君自身にも思いもかけなかった熱い涙がほろほろとあふれ出た。じっとすわったままではいられないような寂寥 の念がまっ暗に胸中に広がった。 君は......
単語の意味
寒空(さむぞら)
手の中(てのなか)
寒空・・・冬の寒い空。いかにも寒そうな冬の空。寒天。冬天。
手の中・・・手の平の中。手の平。手の内。
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おにぎりの味、おいしさを伝える表現・描写(米のカテゴリ)の一覧 ランダム5
おにぎりの一口目は味気ないものである。一口目がおにぎりの中心部の梅干しのところに到達するということはない。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 amazon
飯粒のあいだから顔を出したコロッケを見て、ヨキはうれしそうだ。なんだか占いみたいなおにぎりだなあ
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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冷めた料理の表現・描写・類語(料理(その他)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
歯にしみとおるように冷い
林芙美子 / 新版 放浪記
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「米」カテゴリからランダム5
口へ入れたとき、種と飯とが渾然一体となっている
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
「料理(その他)」カテゴリからランダム5
チーズとクリームがブツブツ煮えて、まるでケネルが怒って動いているよう
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
ことことさっきからキャベツを刻んでいる。
林芙美子 / 新版 放浪記
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